Izuzuki Diver

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ホンベラ

Halichoeres tenuispinis

解説

ホンベラ♂コイツは伊豆で一番数が多いベラじゃないでしょうか?珍しさと言う点では全く面白みがないし、♀は地味~なサカナなんで、あまりダイバーが注目することは殆どないサカナです。でも、一番多いって事は、それだけ優れた生き残り戦略を持っていると言うことなんで、生態に注目してみると結構面白いんですね。車で例えると、街中でトヨタの車を見かけてもあまり注目することはないけど、トヨタの経営戦略をたどると面白い話が詰まっているってのと同じ???
ベラとかハナダイとか一部のキンチャクダイの仲間には、産まれたときは全員♀で、その中で強いヤツが♂に性転換(2次♂と言うらしい:上の写真)して縄張りを持つと言うパターンが結構あります。繁殖には♀の方がエネルギーを使うから、強い♂の方がたくさんの♀と繁殖することができて、結果的に強いヤツ→♂の遺伝子が多くの子孫に受け継がれて行くことができるわけです。さらに、そんな♂達は♀より派手な色彩(TPとかターミナルフェーズって言うらしい)になって♀にアピールできるかわりに、捕食者にも目を付けられやすくなるわけだから、その中で生き残る生命力まで要求される合理主義ぶりです。
でも、ホンベラなどは産まれたときにすでに♂のヤツ(1次♂と言うらしい)がいるから話がややこしい。そんな♂は♀と同じ色(IPとかイニシャルフェーズと言うらしい)をしていて、産卵は♂♀入り混じって集団産卵をします。
2次♂によるペア産卵だと質的には強い遺伝子を残せる可能性が高いけど、テリトリーを持って産卵するから数的にはどうしても限界があります。ところが1次♂による集団産卵があるから、ホンベラはここまで数を増やせたようです。
さらにややこしいことに、1次♂が2次♂になることもできるみたいです。
エラソーに書きましたが、ここまで全てマリンライフナビゲーションの瓜生さんの受け売りなんで、詳しくはマリナビで聞いてください。(^^;;
(2018-05 大瀬崎 -5m)

ホンベラ♀イニシャルフェーズ(覚えたての言葉なので多用!!)のホンベラです。♂なのか♀なのかはよくわかりません。
(2006-10 IOP -12m)

ホンベラこないだ、シュードコリス・オセラータを撮影したとき、主役より周りを泳いでたホンベラygのほうが輝いてたんで、改めて撮ってみました。肉眼では超ジミジミなだけに、撮影するテンションはイマイチ上がりませんが、撮った写真を眺めてみるとヒレの斑紋とか目の下のラインとか、結構ん~イイ感じです。
(2007-09 IOP -8m)

ホンベラのipお腹がパンパンになってる♀を複数の♂が追いかけてるシーンです。この数十秒後に産卵しました。実はIP♂とIP♂って産卵のとき以外でも外見で見分けが付くんじゃないかと思っていたんですが、やっぱりムリそうです。強いて言えば色味が違う気がするけど、IOPの濃いホンベラには応用できませんネ。
(2008-06 大瀬崎 -5m)

縞の出ている固体フツーにエサを食ってるときはこんな縞が出ていることもあります。以前ホンベラの縞が出ている個体の写真で種類を聞かれたことがありますが、確かに写真だけ見ると、縞の出ている個体と縞の出ていない個体が、同じ種類とは思えないかもしれませんね。
(2008-06 大瀬崎 -5m)

縞の出ている固体婚姻色の出てないオスです。以前「これは誰?」と聞かれたことがあるので、この体色も載せておきます。
夏のオスはだいたい婚姻色出しているので、逆にこんな体色のヤツがいると「誰?」ってなっちゃいますね。
(2023-01 大瀬崎 -1m)

お勧め Watching Point

伊豆の浅い岩場ではどこにでもいます。

レア度

★☆☆☆☆:伊豆で周年会える普通種です。